モスクワのアメリカ人
7月4日はアメリカ独立記念日。ロシアに住むアメリカ人とアメリカの好きなロシア人は、これをモスクワで祝う。私がモスクワにいたころは、クスコヴォ宮殿でアメリカ独立記念日にちなんだイベントが行われていた。
モスクワに住んでいたアメリカ人たちは、一種独特の生活様式を持った人たちだった。彼らの多くは、一般の外国人駐在家庭と同じくメイドや運転手を雇い、アメリカ式ライフスタイルをロシアに持ち込んでいる。米国市民権を利用して、在ロシア米国大使館内にあるプールに通ったり(日本人でもアメリカ市民権がある人は利用可能)、スパソハウスという名前の米国迎賓館でパーティを楽しむ。要するに、アメリカはモスクワの中でも際立った治外法権域を自国民に提供していた。長期の休みにはロシアを脱出。
そういうアメリカ人に対して、ロシア人の感情はかなり複雑。アメリカ大使館の前には、いつもビザ申請の長蛇の列ができ、911事件や著名なアメリカ人が死ねば大使館の前は花束の山、イラクを攻撃したときは抗議の卵が飛んだ。ソ連時代は反発しながらも憧れのアメリカだったのが、冷戦終結後はロシアが一方的に劣等感を持つようになり、ロシア人がアメリカ人に対して卑屈になったのはいうまでもない。
しかし、7月4日の独立記念日がめぐってくるごとに、ロシア人はアメリカの歴史の薄さを見ながら、多少なりとも優越感をもっているのではないかと思う。クスコヴォ宮殿で一緒にイベントを楽しむロシア人たちには、そういう余裕が感じられた。





















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