« октября 2005 | Main | декабря 2005 »

ноября 2005

30.11.05

警官こわい症候群

日本人が日本で外をぶらつくときに身分証を携帯する義務はない。しかし、外国人は外国人登録証を持ち歩く必要がある。ロシアでは、ロシア人も身分証を持ち歩く義務があるほか、外国人はパスポート、ビザ、出入国カードの三点セットを携帯する必要がある。これを携帯していないと、警官が職務質問してきたときやばい。警察官が職務質問のターゲットにするのは、だいたい非ロシア人、もしくは非白人。前者はロシアに出稼ぎに来た旧ソ連圏の人たち、後者は日本人を含む、見かけが白人でない者たちである。職務質問は警官の小遣い稼ぎのほか、単なるいやがらせとしても行われる。

あるとき、買い物からの帰宅途中、一人でパトロール(?)している若い警官からパスポートを見せろと言われた。私はマルチビザをもっており、パスポートの出入国スタンプは複数、管轄警察への登録は1回だけだったので、警官がいぶかり、「ロシアに何度も出入りしているくせに登録の回数が少なすぎる」といって難癖つけてきた。私がマルチビザ所有者は1回だけの登録でいいのだと主張すると、彼はなんと上司を無線で呼び出した。私はこの若造警官と30分近く路上で「上司」を待つことになってしまった。結局、上司は私のビザを見て「マルチビザ所有者はOK」と回答、若造警官はわびることもなくさっさと立ち去ってしまった。

またあるとき、私は自宅最寄駅のそばで警官の職務質問を受けた。差し出したパスポートを見るなり、「おまえは本当は中国人かベトナム人なんだろう、どこで偽造パスポートを手に入れた?」といいがかりをつけてきた。私が「そんなに疑うなら今から日本大使館へ一緒に行こう」といいながら携帯で大使館に電話をし始めたので、警官はあわてて私を放免した。

人から聞いた話では、こんなひどいものもあった。あるコーカサス系の人が職務質問を受け、提示した「正規の」就労許可証を「こんなものはでっちあげだ」と目の前で引き破られたという。就労許可証をなくしたその人がどうなったかわからないが、このケースはあきらかに警官による劣悪な民族いじめである。

さらに私は警官によるロシア人に対する職務質問の現場も見た。ひとつは若者に対して。これは兵役逃れをチェックするためだという。そしてもうひとつはモスクワ居住権を持たないロシア人を探し出すチェックだ。ロシア国籍を持っているだけではだめなのだ。モスクワで暮らすには外国人同様、ロシア人でさえ居住登録がいるのである。

かくして、日本でも外をぶらつくとき、何もIDをもたずにいると私は不安になる。警官こわい症候群はなかなか治りにくい病である。

|

27.11.05

めでたいときはとりあえず花火

fireworks3 花火といえば、日本では夏の風物詩。ところが、一般にヨーロッパでは花火は冬にやるもののようだ。たしかに夏は日没が遅く、夜空に花火が映えないのはたしかである

fireworks1 モスクワでも花火がもっともたくさんあがるのは12月31日の年越し直後。モスクワ市内の主な広場では、年が変わった瞬間、猛烈な量の花火が打ち上げられる。しかし、日本のような凝った仕掛け花火や、空に打ちあがった瞬間の変わった色・形を追求したものはあまりなく、きわめてシンプルなスターマイン型の花火が上がるだけだった。

ロシアで打ち上げられている花火の大半は中国製のようだ。ときどき、安全性に問題が生じて、販売所が差し押さえられたりしている。最近は、花火をプロデュースする会社もあらわれ、個人が何かのお祝いに花火を打ち上げるケースがあるらしく、まったく祭事とは関係ないときに花火があがったりしている。

fireworks4 モスクワでの居住地は、当局がらみのイベントが行われる戦勝記念公園も近く、ときにはモスクワ川付近で打ちあがる花火も見ることができた。真冬に上がる花火鑑賞には、まさに絶好の花火ポイントだったといえよう。fireworks2

|

22.11.05

ウィンターバザール

モスクワ在住の外国人女性によって組織されている「IWC(International Women's Club)」という団体がある。もちろん、ロシア人女性も参加可能。クラブ総裁はたいていどこかの国の大使夫人が務め、大使館関係者も数多く参加している。一種の外郭外交クラブのようなものだ。この団体は毎年12月はじめにウィンターバザールなる一大イベントを催す。クリスマスを前に、このクラブに参加するメンバーは、出身国ごとに自慢の物産を展示即売し、売り上げの一部を慈善機関に寄付するのである。

日本ブースは毎年大使館付コックによる巻き寿司と格安和食器などが売り物。あっという間に売り切れる。また、民族色豊かなインドブースや格安の皮革製品が目玉のイタリアブースも人気だ。アルジェリアや南アフリカなど、普段なじみのない国の物産にも触れられる。買い物に疲れたら、スナックブースでお国自慢の味を楽しむ。販売員はもちろん、その国出身者のIWCメンバーだ。私はパキスタンやインドネシアブースがお気に入りで、毎年シルクスカーフやろうけつ染めの布などを物色していた。IWCbazaar1 IWCbazaar2 IWCbazaar3

?なのは中国ブース。実は、中国人メンバーはIWCの例会にはまったく姿をみせない。幽霊会員である。にもかかわらず、ウィンターバザールのときは大々的に店を出し、大使館の男性職員も総動員。2004年のバザー時には、一般ブースとは別に場所を借り切って展示即売している。あまりの特別扱いに疑問を呈する会員もいた。

毎年押すな押すなの大盛況を呈しているこのイベント、今年の盛り上がりはいかがなものだろうか。

|

17.11.05

モスクワのライトアップ

日本ではクリスマス準備がが年々早まっているような気がする。最寄の商店街はすでにイルミネーションがあふれている。近所の庭先に電飾がともるのも、時間の問題だろう。white_house

夏時間が終わり、日没が午後4時になるモスクワの夜は暗い。雪が積もって地面が白くなってもやっぱり暗い。憂鬱が始まる頃、街路や主な建物がライトアップされ始める。このライトアップはロシアのクリスマスである年明け1月7日まで続けられる。というわけで、モスクワの冬の夜は意外と明るいのであった。(もちろん、市内の主要な通りに限られるわけだが・・・)

light_up1 ロシアでは、一般家庭でもまだ白熱灯が主流だ。蛍光灯は「オフィスくさい」といって敬遠されがち。一見豪華なシャンデリアが部屋の中にゆれていても、中身は豆電球だったり、部屋によっては裸電球だけということもある。

街中のライトアップも基本は白熱灯である。だから、街全体がぼんやりオレンジ色に見える。light_up2 夜、飛行機からモスクワの夜景を見ても、日本の夜景のようなするどい光は少なく、ぼわっとした赤っぽい色をしている。産油国だからあまり電気代にこだわらなくていいのか、暖かさ効果を期待しているのかその辺は不明だが、発光ダイオードが普及すれば、年々派手さを増すモスクワのライトアップも、様変わりしてくるだろう。

light_up3 ロシアのクリスマスにかかせないツリー(ヨールカ)については、また改めて。

|

16.11.05

モスクワでパスポートとビザを摺られた話

ちょうど一年前の11月12日のこと。買い物を頼まれて、お土産市場へ買出しへ行った帰りの地下鉄で、私は命の次に大事といわれるパスポートとビザを摺られてしまった。超満員の地下鉄に乗っていたにもかかわらず、両手いっぱい荷物を持ち、リュックの方に気を回していなかった。パスポートは巾着袋にいれて、リュックの底に入れていたから油断していたのだ。まさか巾着ごと盗られるとは思ってもみず、しかも気づいたのは、家に帰ってから3時間以上もたってからのことだった。

次の日、地元の地区警察署に行った。一人で行ってはいけないといわれたので、日本企業で働く、ロシア人職員に同行してもらった。うちの管轄ではないと言いたくてたまらなそうな門番を説得するのに小一時間。パスポートを盗られたのに気づいたのは自宅だと言い張って、その関門を突破。運が悪ければ、乗っていた地下鉄路線沿いの警察をたらい回されるらしい。

ようやく最初に通されたところは、がらーんとした暗い部屋に古いデスクトップパソコンと、私服の若い男性警官がひとり。彼が私から摺られたときの状況や盗られた物、値段、出生地、モスクワでの住所などを事情聴取していく。そして、「今日は盗難証明を書く係官が帰宅したので、また来週来い」と言って、次に行く部屋を指示した。

次に行った部屋は、これまた大学生と見まごう私服の女の子が3人。暖房が入っていなくて、マフラーを首にぐるぐるまきにしている。私たちが入っていっても、携帯メールを打つのをやめない。数分が過ぎてようやく3人のうちのひとりが面倒くさそうに同じ事情聴取をした。残り二人は携帯で電話したり菓子食べたり、へたな歌を歌ったり、まったく警官らしくない。それでもこちらは盗難証明書を出してもらいたい一心なので神妙にしていた。

その日やれることはそれだけだった。週明け、再びその警察署へ盗難証明書をもらいに出直した。しかし、女の子警官が打った書類にはタイプミスがあったので指摘したら、例の女子警官が面倒くさそうに修正した。出来上がった書類はсправка(盗難証明)とпостановление(立件書)だ。新しいパスポートとビザができる間は(パスポートは1週間かからなかったが、ビザは2週間かかった)、この紙切れが私の唯一の身分証明となる。かりに街中で警察から職務質問を受けたとしても、ビザとともになくなった出入国カードの代わりとしても、この書類は水戸黄門の印籠よろしく、私の身分を証明してくれるというのだ。しかもご丁寧にモスクワ警察はこの盗難事件について、犯人を追及してくれるというのだから、私はこの紙切れの威力に心底おそれいった。

ところで、私のパスポートはどこへいったのだろう。誰か違う写真を貼られて、偽造旅券として出回っているのかもしれない。

|

12.11.05

修理人生

ロシアに住む限り、ремонт(レモント;修理修繕の意味)から逃れることはできない。やれトイレが流れなくなったとか、ベランダが傾いたとか、あるいは車の調子が突然悪くなったとか。たいていのロシア人は修理することに慣れているので、自分でできるだけのことは直すスーパーDIYピープルだ。一方、手に負えないものだけをмастер(マステル;職人さん)に頼む。ただ最近は自分でトライせず、最初から職人にまかせてきれいに仕上げてもらおうという人も増えている。

家での一大トラブルは、上の階の住人が風呂の水を閉め忘れて天井から水が漏り、おかげで天井の塗装がはがれてばらばら落ちてきてしまったことだ。階上の住人は知らん顔。それどころかアパート管理会社が自分で修理をしろといってくる。しょうがないので、職人を紹介しもらって修理を依頼した。

クラックを起こした天井はシャワー室とトイレだった。破損状況を確認すると、職人は翌日からセメントと脚立を担いでやってきた。その作業ぶりは目を見張るほどスピーディできれい。あまりに感動したので、工賃を少し上乗せして渡したら、いつでも修理に呼んでくれといって職人は去っていった。

おなじアパートなのに、トラブルの原因はさまざま。しかもこれが治ればあれが壊れるという始末で、いつもなにかしら修理中。というわけで、私が最初に覚えたロシア語もремонт(修理)だったのである。remont1

左:クラックができて塗装がぽろぽろ落ちてきたシャワー室の天井remont4

                  右:修理作業をする職人さん

|

07.11.05

光り物好きに国境なし

毎月最終週末、トレチャコフ美術館別館近くで開かれるのが「宝石市場」だ。日本人奥様方が、毎月目の色を変えて買い物ツアーを組むその「市場」は、毎回ごったがえすような人出である。台湾の翡翠市場に似ていた。

160円ほど入場料を取られる。「展示・即売会」と銘打っているせいか、無料見は許されない。中で売っているものは、琥珀およびそのアクセサリー、デザイナーによって製作された完成品、カットがほどこされただけの宝石、中にはアンモナイトやアクセサリー製作器具なんかも売っている。そして、一番の見ものは掘り出し物をみつけようと血眼になっているおばさんたちだ。いや、卸しのおじさんもけっこう目を皿のようにしていた。売り手には原石を商っているアフリカ系の人もいる。最近は金持ちの韓国人奥様も加わり、宝石市場の国際化は加速している。

初めて宝石市場に行ったとき、あまりの熱気に呆然として何も買わずに帰ってしまった。しかし、人から「せっかくロシアにいるんだから、ここでしか作れないごついデザインのアクセサリーを作るのよ」と諭され、ついに爪の先くらいはあろうかと思われるガーネットを購入。なぜゆえガーネットかというと、ガーネット石の見本の上にГранат(グラナート;ざくろ)と書かれていたからだ。鬼子母神のシンボル、ざくろだ。ルビーなんかよりよっぽど神秘的。おまけにロシアのホロスコープによると、私の誕生石にはガーネットも含まれている。

石の値段は1万円弱だった。本当は2個かって、ロシアのおばあちゃんがぶらさげているようなごついピアスを作りたかったが、加工費を考えるとペンダントトップで断念せざるを得なかった。

その後、何度か宝石市場を訪れてみたが、光り物が好きな人の目の色は共通している。すごい場所である。rynok1 rynok2

|

04.11.05

公衆トイレの思い出

寒くなるととたんにトイレが近くなる。でも、日本は天国だ。外出先でトイレ探しに苦労することはほとんどない。駅にも店にも「無料」で「清潔」なトイレがある。そうじのおばさんがいてもにこにこ笑って「どーぞ」なんて言ってくれる。そう考えると、気が緩んでついお茶をがぶ飲みしてしまうのだ。

モスクワの公衆トイレは悲惨きわまる。まずトイレ自体が少ない。あれだけ鉄道や地下鉄が発達しているというのに、駅構内にトイレはない。主要駅建物の「周辺」や「地下」にひっそりと存在する。いずれも有料(40~50円くらいだったか)。そのくせ汚く暗くトイレットペーパーはあったりなかったり。モスクワ市内の主要デパートには有料トイレがあるが、同じく汚い。そして、驚愕するのはどれも「便座がない」ことだ。そのわけは、便座があったら誰かが盗って行くからだという。モスクワ大学内のトイレも便座ナシだった。観光地の近くでは、青い簡易トイレが林立している。料金取りのおばちゃんがいなければ鍵がかかっていて使えない。公園近くでたまにみかける公衆トイレも、中国のトイレよろしく扉がなく、穴だけ掘ってあったりして、これまた驚愕に値する。

モスクワを散策するのに、トイレの位置確認は重要課題だ。私はトイレマップを作っていた。トイレのある場所、有料無料の別、汚さのレベル、営業時間などを書き込んだものなのだが、ときどきロシア人の知り合いからも「このへんの一番近いトイレはどこ?」などと重宝された。唯一気兼ねなく無料で使えるトイレはマクドナルド。そして外資系大型スーパー。ホテルは宿泊客でないと入れてくれないところもあるので、使えるかどうかは時の運。

以上のような状況から、よそのお宅を訪ねたあと、帰る前にトイレを借りるのは常識みたいなものだった。招待主も心得たもので、「トイレは大丈夫?」なんて聞いてくれたりする。public_wc それにしても、ロシア人は冬でも外でビールなんかをラッパ飲み。他人事とはいえトイレは大丈夫なの、と思ってしまう。

写真は、便座のない、典型的な公衆トイレ。

|

« октября 2005 | Main | декабря 2005 »