モスクワの郊外電車
モスクワでの公共の足は主に地下鉄。しかしモスクワ郊外に行く場合は、郊外電車”エレクトロチカ”を使う。ダーチャの季節を迎えると、週末の郊外電車は大混雑する。最近はモスクワの家賃高騰に耐え切れなくなった市民が郊外へ引越し、そこから郊外電車で通勤するケースも多くなっているという。
ところでこの郊外電車、車掌もいなければ停車駅案内もない。そのかわり出現するのが、車内物売りだ。彼らはもちろん正式な販売許可を持っているわけではない。どこかで仕入れた新聞、食品、日用雑貨などをビニールの手提げ袋に入れて持ち込んでくる。乗客なのかと思いきや、いきなり手提げ袋の中から商品を取り出し、売り出し文句を言い始める。
”エレクトロチカ”の走行音はかなりうるさいので、彼らの声はよほど大きくないと聞こえない。そこで、アイデア日用雑貨や玩具などを実演し始める人も出てくる。どの商品も安っぽく、品質がいいとはいえないので、たいていの人は無視しているが、買う人もたまにいる。
アコーデオンを抱えた「流し」の人が乗ってくることもある。
物売りのほかに物乞いも乗ってくる。いわゆる「組織された物乞い」だ。
モスクワの郊外電車はこうした人たちがひっきりなしに通路を行き交い、実にせわしない。物売り一人が車両の端から端に行きつかないうちに、次の物売りが入ってくる。車窓を楽しむのもそこそこに、人間ウォッチングすることになってしまう。
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