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01.12.09

ロシア人の複雑怪奇な愛国感情

モスクワとサンクト・ペテルブルグを結ぶ「ロシア版新幹線」ネフスキー・エクスプレスが脱線した。当局はテロとの見方で捜査中。折りしもダゲスタンで列車事故。こちらも爆発物が原因で、テロと見られている。

この事件について、メールをやりとりしているロシア人に意見を聞いたところ、「またテロかって感じ。あなたも戦争中の国にいれば、戦争に慣れるはずだ」との返事。あまりにつっけんどんなだったので、「あまりに冷淡な考え方だ」と反論したら、「こういう国だからしょうがない。だから、いつも自分の人生とお金をもっと意義あることに使うチャンスを待っている」という本音が帰ってきた。この友人は、ロシア政府に過剰な期待も愛国心も抱いていないという。

ロシア人の国家・民族意識は複雑だ。古くはタタールのくびきから、近代以降ではナチスドイツ、スターリンの粛清によって出されたおびただしい犠牲が出た。これらはロシア人に「被害者意識」を強く持たせる動機となっている。一方、共産主義の押し付けをやったという「加害者意識」は薄れがち。過去の栄光が翳った90年代後半から新興国にのし上がった最近は、スターリンの粛清さえひっくり返すほどの愛国主義が台頭している。テロが頻発しても、「なぜ自分たちが標的になるのか」という疑問は容易に愛国主義に転換される。

他方、一般市民には「国や政府はわれわれを守ってくれない」という諦めに近いものがある。国家による裏切りを経験しているロシア人は国家権力を信頼していない。しかし、ロシア人が悪く言われることへの反発は強烈だ。

ソ連時代への懐古と嫌悪があいまって、ロシア人の民族意識や愛国感情はますます複雑となっている。その度合いと意義は個々人によって異なるといえるかもしれないが。

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