Posts categorized "見学記"

15.03.10

グム百貨店

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日本では百貨店の閉店が相次いでいる。高級品が売れなくなったとか、デフレで商品価格を下げられない百貨店の競争力がなくなったなど、いろいろ原因はあるだろう。しかし、それ以前にデパートでのテナントが増えすぎていることが気になった。どこのデパートにも、同じブランドのテナントが入っている。

ロシアも同じような傾向だ。モスクワの代表的デパート「グム百貨店」は、ソ連時代においてはいわゆるテナントというものはなく、すべてが文字通りの「デパート(部門)」小売だった。もちろん、全部国営である。カッサ方式では、商品を見るのも買うのも一苦労なので、結局「眺めるだけ」で終わる。店内のアイスクリーム「スタカンチク」をなめながら「ウィンドーショッピング」というのが、グム百貨店での標準的な過ごし方であった。

さて、ロシアになってからのグム百貨店は、高級ブランドのテナントが次々と入った。高価な商品にロシア人が群がる。免税店で買えばいいものを、と思いながら、今のロシア人には高級なものを買うことへの敷居が低くなったのだなあ、と実感する。

庶民的なデパートといわれていた「ツム百貨店」も高級テナントがたくさん入って、ロシアっぽい商品を扱う部門が駆逐されてしまった。デパートはお国柄が表れる商業施設なので、世界的にフラット化してしまうとつまらない場所である。

(写真はソ連崩壊前のグム百貨店)

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27.01.09

グジェリ工場見学記 最終回(附属博物館とショップ)

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グジェリの製作工程を見学し終わると、私たちは工場併設博物館と売店Gzherfabricimg_0345 に案内された。

博物館には有名グジェリ作家による大作、アンティークもの、珍しいグジェリ、彩色を施した陶器などを展示。グジェリのチェスやシャンデリアはなかなか見ごたえがあった。
グジェリの変遷なども展示されており、グジェリに特徴的なモチーフや技法の変化などが解説されている。ただしあまりよく整理されていないため、わかりづらい。
有名グジェリ作家には、ナターリヤ・ベッサラボヴァ、タチヤーナ・ドゥナショヴァ、アレクサンドル・フョードロフらがおり、それぞれグジェリの典型的なスタイルやモチーフを編み出した職人とされている。Marketimg_0397

見学ツアーのため博物館はさらっと一巡して、工場併設のショップへ。ここでは市価より何割か安く「本物の」グジェリを入手できる。また希望者は名入れなどのオーダーを行える。
ショップの外の露天では、なぜかマジョルカ焼きが売られておりグジェリとの待遇差を感じてしまった。 
見学の楽しみは買い物の楽しみでもあるのだから、ここでしか買えないものを大急ぎで買ったというのは言うまでもない。

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24.01.09

グジェリ工場見学記3

Bakerimg_0358 Bakeimg_0392_2「2」からかなり時間がたってしまったが、まだ見学は続く。

←グジェリの素焼き窯

さまざまな形に型抜きしたグジェリは、よく乾燥させ800度(ユーラシアブックレットによれば600度)で素焼きされる。その後、いよいよ絵付けである。絵付けデザインは、伝統的な図柄、もしくはいわゆる「アーフトル(作家)」によって考案されたものをもとに、絵付け職人によって描かれる。絵付けにはコバルトが用いられる。素焼きに描いているときは黒だが、焼きあがった後は美しいブルーに発色する。製品の隅に、グジェリ工場のマークや作家のサインなどが入れられる。いわゆる「本物」の証Testing2img_0360 Testingimg_0385 拠だ。

絵付けが終了すると上薬をかけ、今度はガス窯で焼く。焼く温度は1600度くらいだそうだ。出来上がったグジェリは、入念にチェックされ出荷される。

最近はオーダーメードも受け付けていて、名入れの食器や置き時計、燭台や人形など、大型で豪華なものもよく注文されているという。また、シンプルな白・ブルーだけでなく、金色を施したものも人気があるという。

後になって気がついたが、この工場の労働者はマジョルカ焼きを作っていたグルジア人以外、ほぼ全員が女性。ロシアの主要な民芸品も、製造を担うのは圧倒的に女性なのであった。

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25.12.08

グジェリ工場見学記2(マジョルカ焼き工程)

Workspaceimg_0364 さて、なんだかんだと見学記のインターバルが開いてしまったが、続きがまだある。

グジェリ工場の見学というツアーだったにも関わらず、はじめに通されたのはなぜかマジョルカ焼きの工程作業場だった。マジョルカ焼きは、グジェリの白地にコバルトブルーのスタイルが形成される前にモスクワに伝わった焼き物の技術だ。ローマ陶器の流れを汲むマジョルカ焼きは、紐作りやろくろを使って形を作る、本当の手作業の陶器である。そのため、グジェリ陶器に比べて肉厚でどっしりしている。また、絵付けは素焼き後に行われる。グジェリ村で作られているマジョルカ焼きは、18世紀ごろイギリス経由で伝わったが、最盛期は短かったという。

この工場ではグルジア人の陶工がマジョルカ焼きを制作していた。また、マジョルカ焼きは、グジェリ工場の敷設売店ではなく、青空市場で売られていた。同じ工場内で製造されているのに、格付けを感じてしまった。

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04.11.08

グジェリ工場見学記 2

グジェリ工場といっても、この工場はマジョルカ焼きの工程も併設している。(マジョルカ焼きについては後述、またはユーラシアブックレット『ロシア陶磁器グジェーリ』を参照)

グジェリの材料となる土は、グジェリ村で産出する上質なセミファイアンスの土だそうだ。形成はマジョルカ焼きとはちがい、すべて型抜き形成である。型は石膏のようなものでできており、大量生産に向いている。型に鋳物のように泥水状態の土が入れられ、素焼きされる。その後型から抜いて焼き具合をチェック。このときの焼きの温度は600度か800度かメモが煩雑になってしまいはっきりわからない。

白衣の陶工というのもなんだか妙な感じだ。工芸品というより工場生産という印象を強くした工程だった。

 


写真一番左はマジョルカ焼きの形成工程。
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19.10.08

グジェリ工場見学記 1

2004年5月、念願のグジェリ工場見学に参加した。例によって、Patriashy Dom Toursの見学ツアーに乗っかって行った。

グジェリ焼きは、私にとってサンクト焼き(いわゆるインペリアル陶器)よりも好みな陶器。白地に青の素朴な感じは、日本の砥部焼きにも似た素朴な印象。遠く離れたロシアの地で、いったいどんな生産工程を経ているのか、興味はつきない。

マイクロバスに5人ほどの参加で(日本人は私ひとり)、午前9時に出発してモスクワの東南へ向かうことおよそ2時間、グジェリ村にたどりついた。同じ時間帯にどこかの小学生も見学に来ており、工場入り口はがやがやと騒がしかった。

まず工場の広報担当者のような女性が出てきて、ひとしきりグジェリの歴史や概要を説明。それからいよいよ工場内部に入った。

(適宜連載)

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23.09.08

全ロシア装飾および工芸品博物館

サドーヴァヤ・カレートナヤ通りを横に入ったところにある広々した博物館。ロシア語での名称はВсероссийский музей декоративно-прикладного и народного искусствという。オステルマノフ伯爵の屋敷を改装し、1981年に開館。16世紀から現代まで、約10万点の民間工芸、玩具、服飾、テキスタイルなどをコレクションしている。

博物館としての「見せ方」は、薄暗くてイマイチなのだが、グジェリやホフロマ、民族衣装など、とにかくロシア土産といわれるもののすべてがここに陳列されており、トヴェルスカヤのマトリョーシカ博物館のボリュームが物足りなくなるほどである。また、陳列物の説明が極端に少なくロシア語のみのものが多いので、事前に予習していった方がいいかもしれない。特に、アンティークの部類に入る工芸品は見逃せない。

「全ロシア」と銘打っているだけあって、ヨーロッパ・ロシアの工芸品だけではなく、極東や少数民族のものも展示されている。

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31.10.07

地下鉄博物館

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ガイドブックに載っているのは知っていたが、いったいどこにあるのかさっぱりわからなかったМузей метро(地下鉄博物館)。

なんと、スパルチーブナヤ駅の上にあった。入り口がわからないため、おそるおそる(苦手な)駅の派出所に場所を尋ねると、まったく目立たない入り口に連れて行かれた。かろうじてプレートが出ている。

中に入ると、ソ連時代から国を挙げての大事業であった地下鉄工事を大讃美する展示品が所狭しと並べられていた。特に力を入れて展示していあるのは、「大祖国戦争時のモスクワ地下鉄」。マヤコフスキー駅が野戦病院になっていた写真が飾られている。

このほか功労者の写真や工事のようす、数々の授与勲もたくさん展示されている。運転席のレプリカ(本物の一部?)もあったが、シュミレーション運転をさせるという芸当はできなかった。

世界の地下鉄情報や切符コーナーでは、日本の地下鉄も紹介されていた。

Музей Московского метрополитена

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03.09.07

小学校見学記

9月はロシアの新学期。本当はベスランの子どもたちを追悼しなければいけないのだが、今日は学校に関した別の内容を記すことにする。

新入生らは正装し、花束をもって学校へ行く。蝶ネクタイをした男の子たちや、大きなリボンにエプロンドレスの女の子たちが親に連れられて入学式に臨む。入学式は家族にとっても晴れ舞台だ。学校(ロシアでは小中学は一貫教育)は終日華やかな雰囲気につつまれる。

以前、自宅近所の小中学校を見学する機会があった。いわゆる「英才教育」の学校で、英語やドイツ語の習得に力を入れていた。また、外国人が見学するときに真っ先に指定される学校だったせいか、生徒たちも外国人訪問者に物怖じしないところが印象的だった。

ひとつの教室には20人くらいの生徒しかいない。ちょうど英語の授業が行われていて、先生の説明もみな英語。先生が問題を投げかけると、即座に生徒らが右手を机の端に直角に立てて、先生から当てられるのを待つ。教室は非常に明るいが、大国ロシアを意識した掲示が多い。見学時間が限られていたので、他の授業がどういう風なのかわからなかった。

下校時間ともなると、父兄がドアのところで待っている。犯罪率の高いモスクワ中心部の学校だけあって、親の送り迎えは常識なのだとか。ひとりの生徒にこの後の予定を聞いたら、宿題がたくさんあるから遊べないと答えた。すかさず横から母親が「私がいつも手伝うのよ」と口をはさんだ。September_1

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07.08.07

私の好きなモスクワのМузей(美術館・博物館)その1

「モスクワ・ワンダーランド」といわれる理由の一つに、モスクワじゅうに多くのの美術館・博物館が点在していることが挙げられよう。国宝級からオタク的コレクションまで、その多彩さには目を見張る。今回から数回連続でお伝えする。

1.トレチャコフ美術館 (Государственная Третьяковская галерея)

なにはともあれ、トレチャコフ。1856年設立の10万点におよぶコレクションを持つ美術館だ。そのラインナップは11世紀から現代のアヴァンギャルド美術まで多岐にわたる。私の愛するアンドレイ・ルブリョフのイコンはここに所蔵されている。地下鉄トレチャコフスカヤとノヴォクズネツカヤに近く非常に便利。周辺も古い建物が多く残っており、散策するには絶好の場所。Лаврушинский пер. 12

http://www.tretyakov.ru/

一方、別館はゴーリキー公園の向かいにあり、こちらも常時面白い展覧会がいくつも催されている。Крымский вал, 10/14

2.プーシキン美術館 (Государственный музей изобразительных искусств им. Пушкина)

1898年、モスクワ大学の教授、ツヴェターエフによって設立され、1912年オープンした。コレクションは、ビザンチンやイタリアのイコンをはじめ、ルネッサンス期やエジプト文明の文物も有する壮大なもの。もちろん、絵画の方も充実しており、20世紀初頭に活躍したマチス、ルソー、ゴーギャンの名画も所蔵している。近年、日本にもコレクションが初来日して話題を呼んだ。Ул.Волхонка 12

http://www.museum.ru/gmii/

プーシキン美術館の隣にあるプライベートコレクション美術館も見逃せない。

3.東洋美術館 (Государственный музей Востока)

一番ひんぱんに通った美術館のひとつ。立地の便利さもさることながら、ロシアにいて東洋の芸術に触れ合える場所はここしかない。常設展は民族博物館的要素もあるが、学芸員の確かな知識に裏打ちされているので、単にエキゾチズムを追求するだけに終わらない美術館である。インドやトルコの美術展覧会、日本の匠を招いてのイベントはとても質の高いものだった。2005年の時点で、トイレを改修中。 Никитский бульвар 12а

4.現代美術館 (Музей современного искусства)

1999年設立と新しく、デートの場所としてもふさわしいコンパクトでおしゃれな現代美術館。ブラート・オグジャワのちょっと怖いレリーフがお出迎えしてくれる。パステルナーク、ツヴェターエワのレリーフもあり、新生ロシアを象徴する作品に多く出会える。 Ул.Петровка 25

http://www.mmoma.ru/

5.シューセフ名称建築博物館 (Музей архитектуры им.А.В.Щусева)

モスクワにあって、建築物は芸術品。各時代にさまざまなスタイルが一世を風靡し、名建築家と呼ばれる人たちが美意識と工夫を競った。建築に関心がある人は是非。クレムリンも近いし、見た後にモスクワ建築物めぐりをすれば実習にもなる。Ул.Воздвиженка 5/25

http://www.muar.ru/

6.ヴァジム・シードル美術館 (Музей Вадима Сидура)

日本人にとってマイナーな彫刻家、シードルの個人美術館。場所も東のはずれにあり、少し辺鄙。アフガニスタン戦死兵の碑や人間の清濁を表現したアヴァンギャルド彫刻が有名。日本の版画家、浜田知明に作風が似ている。最寄地下鉄駅はペーロヴォ。 Ул.Новогиреевская  37Vadim_sidur_2 Vadim2_2

http://www.sidur.ru/Sidur.html

7.シーロフ絵画美術館 (Картинная галерея А. Шилова)

いつの間にかリッチな感じの美術館になってしまった。帝政ロシアの雰囲気が堪能できる。肖像画の好きな人にはたまらない美術館である。 Ул.Знаменка 5

http://vmoskvy.ru/city/Museums/index.html?id=13

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