モスクワの家具屋
モスクワでの住まいは、前任者のお譲り家具があったため、新しく家具を購入することはほとんどなかった。ソ連時代のアパートは、同じような家具が作り付けられていたし、たとえ家具や気の利いたインテリア雑貨を買おうと思っても、商品が極端に少なく、高かった。フリーペーパーには家具屋の広告が出ていたが(単に”Мебель”とだけあって、店名は不明)、家具広告より幅を利かせていたのが「窓」や「台所」の広告。つまり、古い窓をサッシにしたり(ソ連時代の窓は木枠で隙間がある)、台所をヨーロピアンスタイルに変える需要の方が多かったのだ。
ほどなくレニングラーツキー・プロスペクトに「グラント(だったか)」という総合家具屋がオープン。また、モジャイスコエ・ショッセに「トゥリ・キタ(3頭の鯨の意)」という店ができ、高いながらもインテリア家具を買うことができるようになった。ただし、これらの家具が扱うデザインは、どことなく野暮ったくゴテゴテとしている。
これに価格破壊とデザインのよさで衝撃を与えたのが、スゥエーデンの「イケア」。2000年にモスクワ郊外のヒムキにオープン。無料送迎バスも新鮮だった。その後イケアは2店舗新たにでき、そのうちギガマーケット「アシャン」と同じ敷地にできたイケアは、週末になると家族連れが大挙して来て大渋滞が引き起こされるようになった。
ポップで楽しい色調とシンプルな材質。なにより安く買いやすい。もともとロシア人は、「都市部の自宅」と「ダーチャ用」の2世帯分家具が必要だから、イケア家具の値ごろ感はたちまち大人気となった。ちなみにモスクワのイケア店内でもらえる鉛筆と紙製巻尺は世界共通仕様。前述の「トゥリ・キタ」は中国からのグレー輸入で問題となった。
http://www.3kita.ru/
http://www.ikea.com/ru/

















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